シルミド〜韓国映画日記39

シルミド

■出演
ソル・ギョング
アン・ソンギ
チョン・ジェヨン
ホ・ジュノ
カン・シニル
イム・ウォニ
■監督
カン・ウソク

■ストーリー
1971年に韓国で実際に起こった特殊部隊の叛乱事件(シルミド事件)をモチーフにした作品。

1968年4月、北朝鮮特殊工作部隊が青瓦台(韓国大統領府)を襲撃し、未遂に終わる事件が発生。韓国政府はシルミド(実尾島)にその事件の重犯罪人31人を集め、刑を免除してやる代わりに北朝鮮の最高指導者金日成の暗殺を命じ、そのための特殊部隊を養成。

31人は3年におよぶ過酷な訓練に耐え、いよいよ暗殺を実行しようとするが、そんな折、政府の対北朝鮮政策の転換で暗殺計画は中止となる。政府にとって特殊部隊は一転して邪魔な存在となり、その抹殺が軍に命じられる…。

公開:2003年

■感想
これぞ男…いや、漢の作品であります!廉

事実を基にしているとはいえ、多少の脚色があるのは映画だから良しとするでありますよ

政府に翻弄された漢たちの魂の叫びを堪能できるであります連

カン・ウソク監督がキャスティングの際に「この映画にアイドルは必要ない!」と豪語したように、役者陣はまさに演技派の集まりで、作品の質を格段に押し上げているでありますな烈

個人的評価
☆☆☆☆☆


追記
シルミド事件】

 シルミド事件は1971年に起こった。ある部隊が基地を脱走し、バスを強奪しながら市民・警官を殺害してソウルを目指した。しかし最後ソウル市内に入ったところで犯人20人が射殺され、4人が生き残った事件である。この事件の伏線は1968年に発生した北朝鮮からの侵入者による青瓦台襲撃未遂事件と言われている。

 31人の北朝鮮兵士が国境を越え青瓦台に1kmまで迫ったものの28名が死亡、2名逃亡、1名が投降した。時の大統領の朴正煕はこの侵略に対し厳しい対応を下したと言われている。そのひとつがシルミド事件の布石となる特殊部隊の創設で、シルミド(実尾島)を拠点にして民間人を集め訓練をする。

 目的はただひとつ金日成を暗殺することだった。彼らは正式な軍籍を持つこともなく訓練に明け暮れていた。ただ、歴史の転換の中でその作戦が実施されないまま時間がたつに従って、訓練の過酷さと軍の方針に不満は募り青瓦台の朴大統領に直訴しなければとの思いが反乱の原因と言われている。

 本書は非公開とされてきたこの事件の実相を丁寧に描いている。事件の概括から始まり、朴正煕政権とKCIAとの関係、現代から見た事件の意味づけ等、特に関係者の名誉回復に焦点をあてている。事件そのものが極めて暴力的であるが故にセンセーショナルに扱われるが、歴史としてその時代を切り取ってみるとその多様なうねりに驚くばかりである。

 事件が発生した第一報は国防部スパイ対策本部から「北朝鮮からの侵略・武装共産ゲリラ」と発表された。しかし、この日の夕刻、「空軍管理下の特殊犯罪人」という報道が国防部よりなされた。事件から24日後の金鐘泌首相の国会答弁で、反乱者の身分は「特殊部隊の要員」だったことが明らかにされる。その後この事件は封印された。生き残った4人は軍籍を持たない民間人であったにもかかわらず、軍法会議にかけられ上告することもなく翌年春に全員が銃殺刑により処刑された。


※この日記は過去のmixi日記からそのまま転載しています。

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